本研究は、経済開発と環境負荷低減の両立が求められる都心の低炭素化をいかに実現させうるか、エネルギーシステムの更新・整備に着目して計画立案の基礎資料を提供することを目的とする。具体的には、東京都千代田区を対象に、当該区が地球温暖化防止条例で定めるCO2削減目標の達成のあり方を、複数のエネルギーシステム整備シナリオの検討による実施可能性を提示する。2章では、地方自治体のCO2排出量特性と対策枠組みに着目し、千代田区が過去のCO2排出量、開発需要から多面的な施策展開の方向性が必要であることが明らかとなった。3章では、千代田区のエネルギー需要を開発トレンドから推計し、2020年に2006年比1.22倍であることが明らかとなった。4章では排出量削減のために(1)建物内既存熱源の高効率化、(2)地域冷暖房の導入、(3)区外の未利用熱エネルギーの活用の3パタンについて検討を行った。結論として、今後の低炭素型都市づくりの実現には、目標市街地像の明確化とその実現担保手段の構築、将来的な技術革新に対応可能な形での空間管理が必要であることを提言した。
- 論題
- 都心における低炭素型都市実現のためのエネルギーシステムに関する研究
- 著者
- 石河 正寛, 村木 美貴, 小倉 裕直
- 掲載誌
- 都市計画論文集, 45(3), 541-546, 2010.