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家庭からの食品ロス削減を促す情報提供手法の実証調査

(1) 目的:
日本の食品ロスの約半分は家庭から排出されており、GHG排出源の一端となっている。このため、食品ロス削減につながる効果的な普及啓発方策が求められている。本実証では、文献調査とグループインタビューに基づき「スマートフォンで冷蔵庫内を撮影することで、買い物時の食材チェックが容易になり、衝動的な買いすぎ行動が抑制され、家庭からの食品ロスが削減される」と仮説を立案し、介入実験により効果検証を行った。
(2) 方法:
食品ロス量実測調査への参加世帯(約450世帯)を、冷蔵庫内の撮影を依頼するグループ(介入群A/B:約300世帯)と、依頼しないグループ(対照群:約150世帯)にランダム割付し、4週間の食品ロス量と介入前後に実施したアンケート調査から、情報介入による食品ロス量の削減効果と行動や意識の変化を検証した。
(3) 結果:
計測のみを依頼した対照群と比較した食ロス量の削減率は、冷蔵庫内撮影のみを依頼した介入群Aでは11%、撮影依頼に加えて食品ロス問題の背景情報を追加した介入群Bでは15%であった。ただし、いずれも統計的に有意差は確認されなかった。介入効果は介入直後の1週目よりも2週目で高まる傾向が見られ、2週目の削減率は介入群Aで15%、介入群Bで21%となり、介入群Bでは統計的に有意な差が見られた(有意水準10% )。介入群では介入前と比べ実証期間における、「買い物前に食材・食品をチェック」と「必要な食材のメモ」の実施率が向上した。
本実証は環境省委託事業「令和2年度脱炭素ライフスタイル推進事業の高度化検討等委託業務」の一環として実施した成果である。

論題
家庭からの食品ロス削減を促す情報提供手法の実証調査
著者
福田 守宏, 玄 姫, 小林 翼
掲載誌
BECC JAPAN 2021, 2021年8月

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