2005年2月に京都議定書が発効し、我が国は2008年から2012年におけるCO2排出量について、1990年比で平均6%削減という目標が課せられた。目標達成のためには、国を挙げての削減努力が必要であり、また世界的に見ると、日本は京都議定書の提案国として、CO2削減のリーダーシップが問われている。このような状況の中、各県は「温暖化対策推進計画」の策定を試みているが、肝心のCO2排出量の推定値さえ、最新年までのデータが県別にはきちんとした形では整備されておらず(CO2排出量の推定方式も推定年度も各府県により異なる)、各県の実態把握ができていない。今後、温暖化対策の推進に当たり、このようなデータの整備は重要であると考える。また、現状では統計データの整備、分析にかかるタイムラグにより最新年におけるCO2排出量の把握ができておらず、統計データは全国で1~2年程度、県レベルではさらに2年ほど遅いのが現状である。そこで本研究では、各県ごとにすべて同じ推定方式を採用し、用途やエネルギー源、製造業の生産指数を加味するなどの調整を行い、都道府県ごとの整合性が取れた形でエネルギー需要・CO2排出量を算出すること、時系列的にデータを整備すること、最新年(現在は2006年)までのCO2排出量を求めること、を目的として、エネルギー起源に係る県別CO2排出量の推定を行う。
本論文では、2006年までのエネルギー最終需要およびCO2排出量を都道府県別に各県同種の推定方法を用いて推定した。今後、より精緻な推計、既存統計との誤差に関する検証、毎年のデータの更新、等を行っていく予定である。
- 論題
- 都道府県別CO2排出量の推計
- 著者
- 水谷傑, 柴田善朗, 中上英俊, 室田泰弘
- 掲載誌
- 第23回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集, pp.73-76,エネルギー・資源学会 ( 2007年1月 )